平成26年度(研究補助)広角中心窩双眼鏡の開発補助 事業

研究の概要

(1)実施 内容
本研究の目的は,
(動き回る)見 たいものを視野の外に外れないようにするため,十分に広い両眼視野を有しつつ視野の中心部分で高い倍率をもつ簡便な持ち運びが可能なハン ディサイズの広角中心窩双眼鏡を開発することである.津波や河川の氾濫などで沖合いに流されてしまった遭難者救助の際,ヘリ上空から望遠 鏡や双眼鏡を用いて作業を行うが,通常,高倍率の双眼鏡は視野が狭く,特に対象が動き回る場合,一度視野の外に外れてしまった観察対象を 再度視野内に捉えることが極めて困難であり,そのまま,見失ってしまうことが多い.仮に再度捉えることができたとしても非常に時間がか かってしまい,このことは救助活動において致命的なミスになりかねない.本研究テーマは,このような現実的な問題点を少しでも解消し,迅 速なレスキュー活動を支援できるよう考案された.以下,実施した内容を記す.

 

1.     試作する広角中心窩双眼鏡 単眼対物レンズの目標仕様を定めた.2次試作では画角30度として,像高カーブを決定した.

2.     光学設計補助者の助力を得て,目標とする光学系をオールガラス(A2)並びにオールプラスチック(B2)の 組レンズ構成で実現するための改良を実施した.

3.     2度の基本設計に基づいてオールガラス並びにオールプラスチックによる 特殊光学系の試作を実施した.

4.  光 学設計補助者の助力を得て,オールガラス並びにオールプラスチックの組レンズ構成で試作した対物レンズ部の光学性能評価と フィールドテストを実施した.

 
   2次設計における双眼鏡単眼対物レンズの構成(オールガラスの場合(A2))

           ただし,非球面部は樹脂にて試作


 
    2次設計における双眼鏡単眼対物レンズの構成(オール樹脂の場合(B2))

            
                      試作する対物レンズの目標像高カーブ


     ターゲット画像(左右視野30度 に設定)と対物レンズで観測し た画像及び試作した広角中心窩 双眼鏡試作機

(2)成果

   1.「広角中心窩双眼鏡の開発」中間経過報告用パンフレット
   2.「広角中心窩双眼鏡の開発(Ver.2)」成果報告用パンフレット
   3.国際シンポジウムSAMCON2016での口頭発表とその英文講演予稿「Development of Wide Angle Fovea Binocular
       -Lens Design and Production of Prototype-」に基づく技術資料
   4.広角中心窩双眼鏡試作機(2種類)及び2次設計データ
 

Last Update 31/March/2016
This research is supported by (公財)JKA平成26年度機械工業振興補助事業(研究補助).