平成23年度(研究補助)マイクロ広角中心窩センサの開発補助事業

研究の概要
広角中心窩レンズは,視野内で拡大率を急激に変化させ,鷹の眼のように「広い視野」と「高空間解像度」という相反する情報を同時に実現する光学系であり,その小型化は外科手術用内視鏡カメラ,監視カメラ,顕微鏡や携帯電話用カメラへの応用に極めて有効である.また,小型であるため競技者に負担無く装着してもらえ,これまでにない臨場感のある映像撮影が可能となる.本課題では,小型化に関し,非球面レンズの加工法に工夫を凝らすことで,より「広い視野」と「高空間解像度」を実現したマイクロ広角中心窩レンズの試作を行う.

研究の動機と目的
近年のデジタルカメラや携帯電話用カメラなどの撮像素子の高精細化に伴って,画像送信時の情報量が年々急激に増加している.とくに広視野かつ高解像度の画像の情報量は膨大な通信量となり,各種映像機器開発の上でのボトルネックとなっている.画像の情報量を増加させることなく広い視野と注目点での高解像度を同時に実現したいというのが本研究の動機である.本研究の目的は,全長10mm程度のコンパクトな特殊な広角中心窩レンズを設計・試作することである.

5月期における進捗
光学機器メーカーの協力を得て1次設計が完了している.


マイクロ広角中心窩レンズ1次設計(レイトレーシングモデル)

9月期における進捗
光学機器メーカーの協力を得て2次設計が完了.

マイクロ広角中心窩レンズ2次設計(レイトレーシングモデル)
ターゲットなる像高関数に変更が加えられた(最大像高2.4mmから1.5mmへ.しかし中心領域でより高い拡大率分布をもつ).


サンプル画像(入射角2.5度の黒い中心領域の面積に注目)

 
従来の広角中心窩レンズ(左)とマイクロ広角中心窩レンズ(右)の入力画像
投影サイズが小さくなっているにもかかわらず中心領域で高い拡大率分布をもつ

12月期における進捗
光学機器メーカーの協力を得て3次設計が完了.

マイクロ広角中心窩レンズ3次設計(3Dモデル)
2組あったダブレットを1組に減らし,レンズ枚数を7枚から5枚に削減することで
全長32mmから全長12mmへの小型化に成功.

2012年3月6日 電気学会産業計測制御研究会 センシング応用セッションで第1日のトリを飾り発表されました。
清水,橋詰,その他,マイクロ広角中心窩センサの開発

Last Update 03/07/2012